9月11日(土)
トンネルを抜けると、どしゃぶりだった。おまけに雷もすごかった。低気圧が私達を追いかけているようでちょっと不安になった。それでもバス停のある戸台口に着く頃には雨も止み、夜が明けるにつれ続々と登山者が増えてきた。
6:30 戸台口をバスで出発。村営のこのバスの運転手さんは、運転しながらすこぶる丁寧にガイドの役目もしてくれる。ただ車窓から見えるのはガスで真っ白な景色だけなので残念。そこから30分ほど歩いて今宵の宿である仙水小屋へと着いた。尾野さんも何かに書いていたけれど、ここの水は冷たくてとても美味しかった。
お天気が良くなりそうにないので、今日は甲斐駒をやめて、仙丈に登ることになる。ジグザグの緩やかな登りの途中、滝さんの靴事件(詳しくは滝さんの山行報告参照)があったりしたが、大滝ノ頭までは楽に登れた。ここから少し進んで樹林帯を抜けるも、曇っていて視界なし。季節を過ぎていたのであまり花も見当たらない。小仙丈のピークを踏んだ頃から風も出てきて天候はまた悪くなった。それでもなんとか頑張って仙丈岳の頂上に着く。
何も見えないので記念撮影だけしてすぐに頂上を後にし、少し降りたところで昼食をとったが、早く動かないと寒いためそそくさと降りはじめる。お天気は一向に良くなりそうにない。終いにどこの山を歩いているのか判らなくなってきた。そろそろ下り飽きて「明日の甲斐駒はやめとこう」と思った途端、前が明るくなって、甲斐駒の雄姿がチラッと見えた。今日初めて見た山の景色だった。
ヘトヘトになって小屋まで戻り、小宴会の後、鰹のタタキや甘えびまでついている豪華な夕食をとる。小屋の前へ出て空を見上げると星がいっぱい。明日は良い天気らしい。19:30就寝。長い一日だった。
9月12日(日)
4:30 まだ暗い中、小屋を出発する。仙水峠につく頃に白々とし始める。夕べの私の計画ではここまでのハズだったが、もう少し頑張れそうなので前に進むことにする。青空がどんどん広がって素晴らしい眺めなので、今日は急坂が全然苦にならない。
駒津峰を過ぎるとヤセ尾根続きで少々気を使ったが、目の前に甲斐駒があるので嬉しくてしょうがなかった。六方石からは直登コースをとる。恐い岩場を皆に助けてもらいながら登る。最後に白ザレの道を踏んで頂上へ到着。山頂は八ヶ岳方面に少々ガスがかかっていたものの360度の大パノラマで、昨日の苦労が報われた!という感じだった。
20分程休憩をとって下山開始。名残惜しくて何度も振り返ったけど、本当にいい山だ。北沢峠13時発のバスに乗らないといけないので摩利支天は残念ながらパス。朝は暗かったので気がつかなかったけど、岩がごろごろした不思議な風景の仙水峠で甲斐駒が岳と摩利支天をしっかり目に焼きつける。お昼前には無事小屋に到着。オーナーの矢葺さんはじめスタッフの方達にお礼をいって小屋を後にした。
帰りは、伊那市に去年できたという「みはらしの湯」で、露天風呂から甲斐駒が岳を見ながら2日間の疲れをとる。名神高速で少々渋滞があったので、家に帰り着いたのは日付が変わる少し前だったが、学生時代から憧れていた南アルプスに行けて大感激だった。(佐々木)