ものごとを白か黒か、上か下かなど、2つに分けて考えることを2分法といいます。人間の思考は同時に複数の複雑なことを考えることには向いていないので、分かりやすくするために、よくこの方法がとられます。また、思考するだけではなく、ものごとを理解する時にもこの方法がよく用いられます。
しかし、現代社会の状況を見渡してみると、「国内/国外」「官/民」「中央/地方」「大企業/中小企業」「男/女」「老/若」などの分類方法は、ものごとの本質を理解するためには却って邪魔になりつつあります。
比較的身近な例をあげると、最近中高年登山者の増加とその危険性が指摘されていますが、中高年が高齢だから危険なわけではありません。若くても体力がなければ危険ですし、体力があっても判断力がなければ危険です。中高年に遭難が多いのは、山へ行く絶対数の違いだと考えられます。
また、今の老人に、育児経験があるからと孫を任せられますか。今の親たちが老人になったら、育児のベテランになれるでしょうか。育児をしなければならない期間に、仕事や自分自身の趣味のために子どもをほったらかしにしたり、他人任せにしたりしていては育児をしたと言うことはできません。育児をしたどうかは、子どもがいるかどうかという2分法で決まるものではありません。育児には常にその時代を把握するための勉強が必要です。そして、時代に流されない、ものごとの本質を見通す第3の目が必要です。
このホームページでは、合成洗剤に関する内容が多くを占めていますが、これなども、ものごとの本質を見通す第3の目がない人には何が書いてあるのか全く分からないことと思います。そういう人たちは、テレビで宣伝していることは正しいことであり、テレビと違うことをいう人は間違っているという2分法に堕ち入ってしまっています。
現代社会は「善と悪」などの2分法では理解することのできない状況にあります。まず、このことを理解することが、社会生活を営み、生きていく上では重要です。