自我同一性


 自分の現在の状況と、こうありたいという理想の自分とは一致していますか。

 この問いに対しては2つの答えがあります。1つは「もちろん一致している。今の自分が大好きである」というもので、もう1つは「そんなもの一致するわけがないだろう。理想はあくまで理想であって、現実とは違うものだ」というものです。

 中には「理想の自分に近付きたいために、現在努力をしている」とか「理想の自分というものが分からないから答えられない」という場合もあるでしょう。しかし、いつかはどちらかの結論が得られます。

 問題となるのは本来の自分と現実の自分が一致していない場合で、その葛藤が外部に向けられることがあります。その際に被害にあうのは自分自身の場合もありますが、家族や友人、職場関係の場合もあります。

 自我同一性の不一致は、青年期に1人前の成人として明確な役割を与えられることが長期に渡ってないような場合に起きると考えられてきました。しかし、原因はもっと以前に遡っても考えられます。成長期に適切な役割を与えられないことにより、発達課題を消化しきれないままに成人している場合です。

 精神的未発達な成人に対しての性格変容のための動機付けは困難です。社会に適応していける最低限の示唆を与えることくらいしかできないでしょう。ただ、その状況を理解してあげることはできます。他者への理解が進むに連れて、関係は改善されるものです。

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