スローフード


  イタリアやフランスなどに旅行して、夜、レストランに入ると、注文した料理がすべて出てくるまでにかなり時間がかかる。どうかすると2時間以上かかって夕食をとることになる。逆にハンバーガーやラーメンで昼食をそそくさと済ませ、夕食もファミリーレストランや回転寿司にすれば、食事の時間はかなり短くてすむ。

 こうした食事の習慣が身についている日本人は、なかなか料理が出そろわないようなレストランでイライラしがちになる。言ってみれば、私たち日本人の食事はすべてがファストフード化しているのである。

 1980年代のバブル経済のころグルメが流行したが、食事のしかたは相変わらずで、短時間という習慣は変わらなかった。

 こうした現代の日本人の食事のあり方を改めようとする考え方が提案されている。ファストフードに対して、「スローフード」という言葉でゆっくり食事をとることの効用を説く運動で、イタリアから始まった。

 スローフード運動は伝統的な食材や料理を守り、質の高い食材を提供し、消費者に味を教育することを目標としている。日本でも非営利活動法人として普及、啓蒙に努める日本スローフード協会(http://slowfood.jp)が発足。新しいライフスタイルの一環として広がろうとしている。

 スローフードはグルメ、あるいは高級料理を食べることとは異なる食事のスタイルである。時間をかけてゆっくり食べるほうが、実はグルメ以上に贅沢なことではないか。

 これからはゆっくりと食事を楽しむ場としてのレストランが日本でも増えてくるかもしれない。こうした楽しみ方を身につける人も増えるだろう。スローフードは日本のレストランや食事のあり方を変える新しいコンセプトになるはずだ。

ライフスタイルアドバイス
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