人の幸福と環境問題


 幸福に暮らすにはどうしたらよいでしょう。金をもうける。望むものを全て手に入れる。より豊かに、より便利になる。どれをとっても、幸福感と直接結びつくものではないことは、薄々感じられるかと思います。

 しかし、質素な暮らしとか、ゆとりのある暮らし、暇な毎日などによって幸福感が得られるかというと、そうでもないでしょう。それは、人の幸福感はストレスの裏返しとして得られるものだからです。

 貧しいからこそ、お金が儲かるとうれしいのであって、裕福な人がさらに裕福になっても、感動は得られません。普段座って長時間仕事をしているからこそ、休日に体を伸ばし、海や山へ行くと感動するのです。ストレスは体に悪いものとして敬遠されがちですが、ストレスがあるから幸福感は得られています。幸福が続くと、それはもう幸福ではないのです。

 人間は、ある程度の不便さ=ストレスがある方が幸福感が得られるということに気付かなければなりません。

 それに気付くと、環境問題に対して私たちがどう行動すればよいかもわかります。現代の私たちは化石燃料を湯水のように使い、楽な生活を送っています。その反面、環境悪化のために100年もすれば人類が滅亡し、他の生物にこの地位を取って代わられる、というの選択も望みません。でも、どうしようもない、自分に出来ることがわからないと、毎日を何もせずに過ごしているのは、現在の楽な生活が幸せな生活だと思い込んでいるからです。

 車を使わずに歩くと不便です。しかし、到着した喜びは、車では得られません。電機製品を使わないと不便です。しかし、生活を工夫し、うまくいくと満足感が得られます。

 このことを政府が充分に説明し、不便な生活の仕方を広く求めるべきです。東京都が銀行に課税するように、地方独自の財源として環境税を導入し、石油エネルギー等の価格を10倍くらいにして、化石エネルギーをできるだけ使わないようにすべきです。

 そうすることによって、便利な生活を続けたい人たちも、水力や太陽エネルギーへの代替を行います。これによってのみ、初めて環境問題は解決の方向へ進むでしょう。

 持続可能な”開発”は、存在しません。持続可能なのは”不便ながらも楽しい暮らし”です。楽なことのない生活が、実は幸福をもたらせてくれるのです。生活を工夫し、消費エネルギーを減少させるために、ライフスタイルを新陳代謝し続けることを基本とした社会こそ、持続可能な社会です。

ライフスタイルアドバイス
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