ワイルドフラワー緑化について

1997.8


 8月2日の徳島新聞で、「自然と共生できるまちづくり」を目指す山川町のボランティアグループが、ヒマワリとルドベキアを堤防上に植えているのが紹介されていた。ヒマワリは「親子で楽しめる、自然豊かな場所を身近につくろう」と、堤防上を草刈りするなど手入れして植えたようだ。しかし、自然と共生したり、自然豊かな場所をつくるためにヒマワリやルドベキアを植えるのは明らかに間違いである。

 確か井川町だったと思うが、「花いっぱい運動」でバーベナテネラを植えている例もあった。これら外来植物を利用して緑化を行うことは、”ワイルドフラワー緑化”と呼ばれている。これらは、セイタカアワダチソウと同様、本来その地方にある植物群を駆逐してしまう可能性がある。

 最近では種というのは、同種であってもその遺伝的性質には地方により違いがあることが知られている。例えば九州にススキがたくさんあるから、四国のススキは全滅しても、また九州から移植すればよい、というわけにはいかないのである。

 従って、自然との共生を謳うなら、緑化にはその地方に本来適応してきている植物を使うべきである。しかし、そういう植物は昔から”雑草”と呼ばれて大事にされていない。

 住民が自然豊かな場所づくりを目指すのか、遺伝子的には砂漠でも同一種の花いっぱいの場所づくりを目指すのかは自由である。しかし、今地球規模では、生物の種の多様性を保存することが求められている。 内藤

「阿波あすなろ山の会」
[戻る]