鰻轟山   2014.11.29 国土地理院の地図を表示   [戻る]


【コースタイム】

<4人組のコースタイム>
轟ノ滝8:45──10:10谷川二股──10:35山入り──12:22 963m尾根──13:15(C)──13:45鰻轟山──14:40霧越峠

<2人組のコースタイム>
轟ノ滝8:45──谷川二股10:10──12:10 963m標高点(以後2人組)12:45──13:45谷川二股──14:25轟ノ滝

※轟ノ滝から6人で出発したが、鰻轟山の西の稜線上の963m標高点で2人と4人に分かれて2人組は頂上に向かわず引き返し、4人組は頂上に向かい霧越峠に下山した。


【感 想】

数日前には午前中は雨という予報でしたが、早いうちに寒冷前線が通過したのか、待ち合わせの小松島でも濡れることはなく、登山口に近づく頃には晴れてきました。

登山口までの道路は、途中、退避エリアがあまりない狭い林道があり、対向車がくれば、どっちかがかなり後退せざるをえない道でした。轟の滝観光案内所の手前の無料駐車場に到着。10台以上は停められそうです。

8:45駐車場を出発。轟の滝 観光案内所は朝早いのでまだ営業していません。横に公衆トイレがあり、わりときれいでした。また、駐車場との間にバス停があり、町営バスが日に片道3、4便は走っているようです。

案内所からは整備された遊歩道を歩きます。紅葉はとっくに終わったようで、遊歩道は散った葉っぱが覆うような状態でした。登りになり、石やコンクリートの階段になります。観光でも気軽に登れそうですが、石がごろごろあるところもあり、靴はスニーカーのようなもののほうがよいでしょう。

雨上がりの湿った道のあちこちには、長さ20〜40cmぐらい、体色が薄青色の大きなミミズが這い出していました。雨上がりにミミズが出てくるのは、「ヒャッハー!湿気だぜ♪」というわけではなく、土中の酸素が少なくなるから出てくるという説が多いようです。

ミミズだけでなく、Oさんが「おっきいカエル!」と地面を指差します。地面を見ても落ち葉ばかりですぐわかりませんでしたが、よく見ると皮膚を黄土色に擬態した4〜5cmほどのカエルが落ち葉に同化していました。じっくりはみていないので、アマガエルのメスかトノサマガエルか、種別はわかりません。

遊歩道を登っていくと、50mから300mぐらい歩くごとに、二重の滝、不動滝、横見の滝、舟形滝、丸渕滝、鳥返しの滝、鍋割りの滝と見ることができます。雨上がりでしたが、水は濁っておらず、わりと澄んでいました。水量が十分あるからでしょう、豪快に音をたてて流れ落ちます。

1箇所だけ(たぶん横見の滝)、岩に隠れて滝の姿を見ることができませんでした。最上部の鍋割りの滝に到着。「先には滝はありません」と看板があり、この先は観光地から山登りになります。

谷川に沿うように山道を歩いていきます。植林された杉の木が多いようですが、林業としては寂れているようでした。谷川の岸の道は、岩や石が濡れていたり、苔むしていたり、滑りやすく慎重に歩きます。

地形図上で谷川が二股になっている付近で難所に遭遇します(ドクロマーク:増水時困難)。水が少ないときは河原側の飛び石を渡渉できそうでしたが、季節的にも水にドボンは避けたいところで、岸の岩場の狭い足場を張り付いて行けばなんとかという状況でした。

Uさんが行かないとおっしゃったのですが、Aさんが9mmのザイルを取り出し支えるからということで行くことになりました。僕は、山行でザイルを使う場面を生でみるのは初めてでした。

Aさんが、シュッと何とかノットという結びをつくり、Uさんの腰にシュリンゲ、カラビナを装着し、ザイルを通します。川岸の立木にザイルをまわし、Aさんが支えながら、Uさんも無事難所を通過できました。僕も恐る恐る足を滑らさないように後に続きます。

難所の後、山側の道や谷川の岸を歩き、計画のB地点を目指すのですが、思ったように進みません。予想より道が悪く、川も増水しているので、途中で地形図を見てルートを変更することになりました。

計画のB地点からC地点930mに登るのではなく、現在いるところから963mのピークを目指して尾根を登ろうということになりました。地形図やGPSで現在地を確認しながら尾根を目指しますが、当然はっきりとした道はありません。

落ち葉で覆われた急斜面で足を滑らせ、雨露をまとった葉っぱのビンタをくらいながら低木をかきわけ登っていきます。GPSの軌跡にあるように、はっきりとした尾根筋にたどり着くまで、ところどころ迷走しています。

先頭を歩くKさんは露払い状態で、休憩のたびに軍手が絞れるほど濡れていました。たまにいばらも生えており、リアル「いばらの道」という冗談も出ます。高度700mを超えたあたりから、低木の間隔が開けてきて、登りやすくなってきました。

勾配も少し緩やかになり、先頭と後ろが離れたので広めの場所で休憩をします。温湿度計をみると、気温19度、湿度89%。11月末にしては暖かいです。

先週の塩塚峰にも参加されていたお試しのYさんは山行経験が豊富なタフな方のようで、僕が聞いて「((;゚Д゚) ヒィー、ガクガクブルブル」というような山行で救急車に運ばれた怪我の話をされていました。

その後もピークを目指して登っていたところ、Aさんの判断で、帰りに登って来た急斜面を下ったり、川の難所を戻るのは大変だということで計画を変更しました。本隊は鰻轟山から霧越峠の道路へ下り、Aさんと、元気な?下りの早い僕(以下、別働隊)で、登りルートを戻り、車で残り4名の本隊に合流するということになりました。

別働隊が鰻轟山まで往復し登りルートを下山するには、食事休憩の時間を考えると余裕がありませんでした。別働隊は本隊に先行して急ぎ、963mのピークを目指し上昇。高度分速最大10m以上とペースを上げます。

勾配が緩やかになると視界が開けます。植林を伐採したあとのようで、稜線沿いに破れて放置された動物よけネットのようなものが残っています。

12:07ピークに到着、特に目印のようなものは見当たりません。ここでAさんに鰻轟山まで往復できそうかとたずねられました。

地形図だと片道で距離1km以上、累積高度差100m程度のルートです。エネルギー十分で慣れた道なら分速100mで行けそうですが、初めてなので分速50mと見積もって往復40〜50分はかかりそうで、食事時間が十分確保できません。

朝食から6時間経過、エネルギーは残りわずか、ということで鰻轟山はあきらめ、ゆっくり食事休憩を取り、本隊の到着を待つことになりました。ピークの谷側は開けていて、晴天の日差しを受け、汗や雨露で濡れた衣服を乾かすのにはちょうどいい場所でした。

二人で飛ばして引き離したため、なかなか本隊が到着しません。本隊が到着し、今後の打ち合わせをし、本隊も食事休憩を取ることになりました。12:45 別働隊の二人は、登りルートを引き返します。

登り道は収束するけど、下りは尾根が分かれたりして道が多くなるので間違えやすい、といった話をAさんとしながら下っていきます。Aさんが地形図で読図し、僕がGPSで現在地を確認していきます。Aさんの読図技術からして僕の読図力はまだまだだと実感します。

迷うであろうとGPSで記録していた尾根が分岐する地点(ドクロマーク:148)を(赤い標識もあった)クリアし、尾根筋を下ります。高度700mあたりから下は、茂った低木の中を行かねばなりません。登って来たのと風景が違い、迷いそうになります。

ときどき立ち止まって登りの足跡を探します。下りは急勾配なうえに、落ち葉が積もっているので、二人とも何度か足を滑らせました。ようやく谷川沿いにたどり着き、行きの難所もクリアし、鍋割りの滝あたりからは、さくさく階段を下りていきます。

お昼過ぎということで、観光客の人が滝を見に登ってきます。少し時間を割いて、登りでは見なかった本滝に寄り道しました。「轟」の字のごとく、大きな音で水が流れ落ち、霧状のしぶきが流れてきます。夏は涼めそうです。

本滝の近くにも駐車スペースがあり、観光客のほとんどがそこまで車で来ていました。14:25 駐車場到着。本隊の待つ霧越峠へ車で向かいます。霧越峠では、本隊の4名が無事下山しコーヒーを入れて待っていてくれました。

Uさんの「無事戻れてほっとした」というように、今回は、あすなろに参加してから一番道が険しい、かつ服が汚れた山行でした。ソロでは絶対に行かないルートなのでいい経験になりました。

車に乗らない僕にはできない、大変そうな長い山道や往復の運転、Aさん、一部Kさん、ありがとうございました。(安部)



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