白峰三山縦走   2014.7.31-8/3 国土地理院の地図を表示   [戻る]


【コースタイム】

7/31 松茂8:00──東海道新清水──18:00奈良田 Pでテント

8/1 奈良田5:32─(バス)─6:20広河原7:00──9:00二俣9:15──10:44稜線──11:44肩ノ小屋12:20──13:00北岳13:20──14:15北岳山荘

8/2 北岳山荘5:20──5:53中白根──7:05間ノ岳7:30──8:30農鳥小屋8:45──9:28西農鳥岳9:40──10:20農鳥岳──11:20大門沢下降点11:30──14:00大門沢小屋14:20──17:15奈良田──20:00頃奈良田温泉(スーパーお弁当類品薄)

8/3 1:00伊吹(4時前まで仮眠)──7:15徳島松茂着


【感想(島)】

 余りの早さに、ほんとうに南アルプスにいたのだろうかと錯覚に陥ります。

 出発前は、天気予報と山の天気とにらめっこしながら、天気は悪そうだけれど大丈夫と楽観視していた。前日の夜、余り良くないから他へ登ることも相談しようとまで出たのだが、当日朝、北岳山荘へ電話をかけ、天気もまずまず良さそうと意を決して出発した。

 10時間も奈良田までかかるので、朝8時松茂役場を出発。贅沢に明るい景色を眺めながら東海道新清水から高速を下り、山梨県早川町奈良田まで入る。途中スーパーで、夕食と行動食を買い込む。

 奈良田は、金曜日なので、第2駐車場はまだがら空きだ。奈良田温泉は18:30まで入れるので、島1人、ぬるぬるのお湯につかった。550円。駐車場から200m登った所に温泉がある。

 天野さんの差し入れの、よく冷えたビールとつまみとでテントを張って宴会。前日なので21:00には就寝。夕方、夕立があったが、夜はあがって星も眺められ、何もかも初体験の小川君は感激していた。私は、耳栓をして車で寝たので、その晩駐車場に入ってきた10数台のエンジン音も全く聞こえずよく眠れた。

 翌朝4時前に起きて、テント撤収。朝ご飯は、綱島さんの差し入れのフリーズドライを作っていたら5時前になる。バス管理のおじさんが、早く並ばないと立ち席になると言ってきたので、食べるのは広河原に着いてからにした。満杯3台で出発。第2駐車場は5:32発。

 広河原は立派な建物が建っていて、その中で朝食。炊き込みご飯とサンマの蒲焼き。6:20に着いたが、出発は7:00。たくさんの人が、北岳を目指して登山開始。

 歩き始めはゆっくりと、リーダーの私が先頭を歩く(本当はSLが先頭です。Lはどん尻で全体把握します)。皆さん結構早く歩いて行くのですが、徐々に脱落していくようです。

 ゆっくり歩き、身体も慣れてきたら、ペースを保ちながら歩けます。小川君にはゆっくりだったでしょうが、コースタイムよりは早く歩けます。最初の計画は北山さんも一緒にテント泊の予定でしたが、天候が心配なので小屋泊まりにしました。

 荷物は軽いはずなのに(高越山でボッカもしたのに)、私と天野さんが、若い小川君にビールを1本ずつ持ってもらってもらい、ゆっくりゆっくり登った。二俣から雪渓。大樺沢。天気は上々。雪の横は涼しい。二俣には仮設トイレも備わっている。

 右俣にまわり、肩ノ小屋経由で北岳に向かう。天気も良く、仙丈がどっしり後ろにいる。甲斐駒は残念ながら雲の中。小川君は興味深そうに山々を眺め、何山か尋ねる。鳳凰三山も眺めることができる。

 高山植物も、ハクサンイチゲ、タカネツメクサ、ミヤマキンポウゲ、ショウジョウバカマ、チングルマ、イワベンケイなどたくさん咲いている。キタダケソウは残念ながら終わったそうだ。6月から7月半ばくらいまでの期間らしい。

 北岳には、学生の頃登って以来、35+α年以来だった。今回、こんなに天気も良く、360度眺めることもでき、本当に嬉しい。あきらめずに決行して良かった。

 北岳山荘まで、岩のガレ場を下っていく。昨日朝電話を取ってくれた女の子が受付だったので、挨拶をかわした。1泊2食8700円。お弁当は1000円(おかず少なく、これならフリーズドライに缶詰がいいと思った)。

 小川君に持ってきてもらったビールを早速雪渓で冷やし、小屋の外で景色を眺めながら乾杯!午後からは雲ばかりになったが、北岳は勇姿を出してくれている。雲の中から富士山が見えると小川君発見。良く見つけた。登山者の皆さんが一斉に喜んだ。

 そこへ、足の長い単独女性の出現。テント場を眺め、場所を決めて整地。無駄な動き無く、さらっとテントを張った。ちょうど一杯している登山者の注目を集め、一同感心。小川君もあのようになってくれたまえ。(^_^)/

 小屋は、金曜の夜でもあるので布団1枚に1人眠れた。北岳山荘は水・湯を自由に使わせてくれる。肩ノ小屋は1L100円。ペットボトルの水は400円。

 20時消灯だが、たぶんその前に寝てしまった。夜、ネオンサインのような雷がきれいだったと綱島さんが話していた。私は全く気づかずに寝ていた。

 8/2、4時前に起床。4時半から朝食。トイレタイムに時間がかかり、5:20出発となる。天気は曇り−晴れの予報。登る内によく晴れてくる。

 中白根への登り、間ノ岳へ。間ノ岳は今年1m高くなり、奥穂と並ぶ第3位となった。富士山、甲斐駒、仙丈をバックに写真の撮りあいを登山者同士する。遠く北アルプス、中央アルプス、乗鞍、御岳、八ヶ岳、南アルプス南部も見渡せる。最高の登山日和だ。長い間白峰三山を登りたかったので、今回登れたことに感謝です。

 農鳥小屋の名物おじさんに小屋のトイレを借りた。昔懐かしい、お尻の下はすーすーでした。登山者のことを思ってくれている管理人さんなんだと思います。怖くはなかったですよ。(^_^)

 驚いたことに、農鳥でピストンして帰って行く登山者もいた。ピストンのほうが絶対えらい!ほとんどは間ノ岳ピストンですが、ペットボトル1本ポケットに入れているおじさんもいてたまげます。

 農鳥小屋から西農鳥の登りは結構あります。それから農鳥。南アルプスならではの一峰一峰が、標高差が北アルプスに比べて大きいです。でも黙々と登って行くと必ず着くので、余り休まずに登ろう。休みを多く取るのも疲れの原因です。

 ここで、大門沢から5時間で歩いてきたトレランの方に何人も会いました。トランスアルプスジャパンレースの平井さんも、よく知っておられるようです。平井さんは本来なら一昨年で年齢制限だったのですが、今年も出場することになったそうです。徳島応援したいですね。ロイヤル山岳会に所属しています。

 大門沢下降点には、ここで遭難された方のために鐘を設置しています。鐘を鳴らして下り始めます。結構悪い下りです。ここから登ってくる方もいるので、大変ですねと声をかけると、下りの方が大変ですよと言われました。確かに。でも長い下りを覚悟していたので、丁寧にゆっくり膝のクッションを効かせながら下ります。

 途中雲行き怪しく、雨が降り出した。カッパを上だけ着た。そうする内に本降り。下も履けば良かったと反省。岩の下り有り、細いトラバース有り、十分注意する下りだ。小屋の手前で雨も上がったので(1時間強降った)、大門沢でカッパ、帽子、ザックカバーを干させてもらう。沢の水がふんだんで、冷たい水がおいしい。

 雨もやみ(現在2時)、あと3時間なら頑張って慎重に下ろうと決めた。沢の徒渉のハシゴや、吊り橋が何度も出るが楽しい。途中下っていると、トレラン組が追い抜いた。広河原から走ってきたのだろうか?人間業とは思えない。スポーツ心臓の持ち主なんだろう。一人は若い女性だった。

 前を、二人連れのストックを付きながら歩いている人たちにもなかなか追いつけない。若い人の方がバランスが悪そうで、最後は遅くなって、私たちはやっと追いついた。ヘルメットを持っているので、岩登りしたのか聞くと、大樺沢の雪渓を登って来たとのこと。直前に夏道が出てきて、アイゼンも不用になったようだった。

 北岳山荘に数人の聾唖の方が泊まっていたが、その一方でした。意外にも、女性で足が痛いのは私たちも一緒。先に行かれた方は私たちよりご年輩なのに、すごい早さで下った。トレランの方は、またたくまにすっ飛んで行ってしまいましたけれど。

 足は痛いけど、すぐさま温泉に直行。ここの民宿はお年寄りになって廃業されて1軒も無く、野宿も考えたが店もなく、食糧のために町中に行って帰っても遅くなるため、コンビニ弁当でお腹をなんとかふくらませ、伊吹で3時間ほど仮眠をとって、朝7時過ぎ帰徳した。

 金曜の夜から徳島が大雨などつゆ知らず、未だに降っている。明日も雨のようだ。槍は登れたか、雨ではないかと心配している。念願の白峰三山1泊2日強行軍、頑張りました。

 でも、テント泊ではもう荷物が持てないことを実感しました。9月末の光・聖も頑張って完登したいと思います。運転してくださった天野さん、綱島さんありがとうございました。小川君も、次回剣岳も頑張ってください。お天気がよくなるよう祈っています。

追伸:耳栓・目隠しは必需品です(小屋や車の中で)。


【感想(小川)】

 アルプス初心者の小川も感想を書けというお達しなので、個人感想を中心に掲載。

 数日前から、天気予報は思わしくない。だが、最近の予報の外しっぷりからして、今回も見事に外してくれることを期待していた。

 結果は吉と出た。1日目移動日。道中は長かった。10時間ほどかけて、山奥深くの奈良田に到着。今日はここでテント泊。天野さんが、大量の酒を準備してくれていた。辺りは真っ暗闇で、ヘッドランプを頼りに酒盛りを始める。ワイルドだぜ〜〜。かなり酔っぱらって、ここまで来た目的も忘れ果て、いい気分になって床に就く。だがテント泊は初めてで、酒に酔った勢いで眠ろうとするが、中々寝つけない。

 夜半頃、蚊がブンブンいうので、みんなで退治した。それで少し疲れて眠れたが、1時間ほどで目が覚めた。それからはほとんど眠れなかった。

 朝4時起床。慌しく準備して出発。睡眠不足でちゃんと登れるか心配だったが、最初は少し体が重たいのを感じたものの、段々暖まってきて快調に登ることができた。

 雪渓に近づくと、ひんやりとした空気が吹きわたり非常に気持ちがよかった。この辺りで道が二手に分かれるのだが、我々がとったのはは雪渓を通らないルート。雪渓を離れた途端、暑苦しくなった。次登る機会があれば、アイゼンを使って雪渓を登りたい。

 山小屋のトイレは、水洗に日頃慣れている身にとっては嫌なものだ。肩の小屋のトイレでは吃驚した。詳述は避けるが、決して見てはいけないNG危険物を見てしまった。おかげでテンションはガタ落ちだ。その後しばらく"思い出しオエッ"に悩まされることになる。

 北岳に登頂すると、東側だけガスで満たされ、西側は晴れているという何とも珍妙な景観だった。ただ下り始めるとガスがあっという間に晴れ渡り、明日登る間ノ岳がぬっと現れた。

 北岳山荘に到着すると、また酒盛り。どこからともなく現れた一人のお姉さんが、目の前でいきなりテントを張り始める。単独行らしい。かなりの経験者と見え、テンポ良く設営を進めてゆく。その手際良さに一同の関心を集めていた。綱島さん曰く「まったく無駄がない」「美しい!」。そこには、テント設営の完成形があった。他の登山客で、写真を撮る人があったほどだ。遠目ながらちょっと美人っぽく見える。私も見とれていた。

 山に登ると、無性に肉が食いたくなる。夕食はもちろんお肉を期待したが、出てきたのはカレイだった。何故ここまで来て魚なのだ??

 次の日早朝、起きて窓の外を見ると、日本第一の高峰が明け方の空の中で巨体を屹立させている。第二と第三の高峰の狭間からこれを眺めているわけだ。やがて御来光。周りの登山客のカメラが、一斉に同じ方角に向けられシャッターを切る。

 間ノ岳に向けて出発。長い稜線を行くわけだが、左手に雲海に浮かぶ巨大な富士山を眺め、右手には中央アルプスから北アルプスまで続く長大な山脈を一望することができる。何とも贅沢な山行だ。

 間ノ岳に登頂すると、これまで隠れて見えなかった南アルプスの向こう側も姿を現した。空気が澄んでいるようで、かなり遠方まで見渡せる。名立たる名峰が一堂に会しているかの如くの山上世界だった。

 農鳥岳も登頂して、三座制覇。少し早いが、ここで昼食休憩。北岳山荘で買った弁当を開ける。だが不覚にも弁当をひっくり返してしまい、おかずの半分以上を地ベタに落してしまった。とりあえず、肉とシューマイは回収して、土を払って食べた。山上の紫外線照射で除菌されているものと思いたい。その他は雷鳥の餌にと残していった。

 下山開始。奈良田まで2千メートルを降りてゆく。中々の急坂で、膝を痛めないよう注意深く着地するのだが、それでも段々と加重が蓄積されてゆく。途中からにわか雨にも遭い、カッパを着用する。滑りまくった。道は果てしなく続き、最後のほうは足がガタガタだった。しかし男の意地で歩きぬく。

 後で歩行困難になるほど足を酷使したが、アルプスを登ってきたという実感を持つことができた。

           

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