四国ブロック遭難対策講習会   2012.6.24(10:00-15:30)  



【場 所】愛媛県生涯学習センター


【感 想】

松山で羽根田治氏を講師に迎え、遭難対策講習会がありました。70名ほど集まりました。たくさんの事例があがり、羽根田氏からは、人間はミスをどうしてもおかすので、遭難しないためにはどういうリスクがあるが想像力をもってほしいとのことです。

たとえば、天候が悪くなったらどうなるのか?あの藪から熊が出てきたらどうするか?仲間が体力を無くしたら歩けるか?

自分の立ち位置、メンバーの立ち位置を客観視してほしいとのことでした。以下は、市労山の片山氏がまとめてくださいました


テーマ: 道迷い・遭難を考える

1 羽田治氏講演

埼玉県浦和市出身のフリーライター。山岳遭難、登山技術ロープワークなどをテーマに雑誌や書籍で幅広い執筆活動を行っている。著書は、「空飛ぶ山岳救助隊」「生還 山岳遭難からの救出」「ロープワーク・ハンドブック」など多数。

内容は、羽田氏が取材をした山岳遭難のうち代表的な事例を紹介された。

・道迷い遭難
  2011.6.22 羅臼岳

・気象遭難
2009.10.7  大雪山系・トムラウシ山
2012.5.4  白馬岳
2012.5.4  涸沢岳
2006.10.7  白馬岳

・滑落遭難
2010.8.14  両神山

・記憶に残る遭難
2007.12.31  槍平での雪崩事故

最近の遭難で白馬・涸沢で発生した遭難事故では、低体温症が話題となった。この特徴は、1.行程が長い 2.エスケープルートがなかった 3.急な天候の変化 4.メンバーが多いなどである。

そのため、注意点としては、長い稜線に出る前に、その後の行程を考えて判断することだ。

遭難を防ぐための方法としては、1.山には常にリスクが存在すると自覚する。2.すれ違いは山側に避ける。 3.人間はミスをすると考える。 4.想像力を持つ。 5.何はなくても体力は必要。6.自分を客観視する。 ことだそうです。

※5月の白馬の遭難は、報道ではパーティーは、軽装で準備不足のような報道がされたが、実際は、十分に防寒着を着用していた。報道の在り方を考えさせられた。


2 分科会報告

(1)第1分科会報告(過去の遭難事例の報告)

1) 香川県から:メモだけを残して遭難したので、捜索が混乱。計画書は出すことを義務付ける。コンパスを使ったが、テープを頼りにしたのが間違い。

2) 高知労山から:道迷いして2日間山中で過ごした事例紹介。登山届を出さず地図もコンパスも持っていたのに活用せず、印だけで行動した。教育が足りない。

3) アルプハイキングクラブ:ヒヤリハット報告の紹介。長距離山行の場合は、グループが2分化する危険性を指摘。

4) 徳島からは、過去の遭難・事故事例を片山が紹介。特に遭難時は、正確な位置情報が必要なことからGPSの携行を薦める。

5) 徳島山と友の会からは、2件の事故事例を報告。

6) 愛媛県連:権現山と瓶が森、石鎚山系の滝周辺での事例の発表。教育訓練が足りていないとの指摘があり。


(2)第2分科会(4県の遭難回避のための討議を行った)

1) 高知県からは、登山中のGPS使用をぜひ行ってほしい。また、アマチュア無線の取得に努めてほしい(香川県からも)。

2) 徳島県では三嶺の食害が進んで、わかりにくくなっているところの道標をつけて道迷いを少なくした。登山道以外の所は、通らないようにしてほしい。沢登りや岩登りの研修会も行っている(久米氏から)。

3) 香川県は、救助隊を編成している。他の県でもこの救助隊活動に参加をしてほしい。

4) 愛媛県では、遭難を回避するための研修会を行っている。ホームページの年間行事スケジュールにある報告書を見てほしい。

5) 高知県の山岳会には若い人も入ってきている。市民登山教育を行っているからである。


3 次期開催:来年の開催県は徳島県です。(島)


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