後立代わって白馬鑓   2008.8.14-16   国土地理院の地図を表示   [戻る]

【コースタイム】

8/15 猿倉8:20──10:20小日向のコル──12:20白馬鑓温泉小屋
8/16 白馬鑓温泉小屋6:55──9:45猿倉


【感 想】

悪天候のため温泉ツアーに!!

14日の午後3時過ぎ徳島を出る。この土日は天候が悪い予報なので、気持ちも少し重い。夜11時過ぎに、白馬の道の駅にテントを張る。ちょうど車の後ろに芝生があり絶好の幕場。道の駅はいっぱいの車。

まだ、天気次第でどこへ行くか決まっていない。悪天ならば不帰のケンはまず行けないので、当初、遠見尾根から五竜へ北へ行く所を、八方尾根から唐松〜五竜〜鹿島槍と考えたりしていた。

15日朝、ぱらぱら降り出したが程なくやむ。山には雲がたちこめている。天野リーダーは前線が北にあるから南に逃げたらと、中央アルプスに行こうと言う。そこへ、大阪からきた女性が通りかかり、白馬鑓温泉への沢の話や、温泉の湯の豊富なことなど聞き、鑓温泉に行くことに決定。そして、翌日天気であれば(まずないガ)不帰のケンへ。少し悪ければ白馬越えて蓮華温泉にと考えた。

いざ猿倉へ。猿倉山荘では、監視員の方が計画書の提出などのチェックをする。私達も、白馬鑓温泉小屋から白馬往復などと書いて提出(この時点でも悪天候予報だったから)。

8時20分に猿倉を出る。猿倉から白馬鑓温泉まで、小日向のコルまでは樹林帯の中を黙々と登る。天気も思ったより悪くもならず、薄日がさす。コルには池があり巨大化した水芭蕉の葉が生えている。ここまで2時間。シモツケソウ、キンポウゲ、エンレイソウ、キヌガサソウなどの花がたくさん咲いている。

このコルから三次郎沢、杓子沢、鑓沢と越えるが、沢には雪渓が少なく悪い状態となっている。落石に注意しろとの表示がたくさんある。

最初の三次郎沢は雪渓が溶け、沢には木の橋を渡してくれている。頼りないような橋だが豪雨にも耐え、翌日渡る時もしっかりあった。杓子沢はガレ沢で、黒い石の長いガレが上部まである。上部を見ながら素早く通過する。

先を見ると、ちょうど白馬鑓山荘が見えた。急斜面に建ちあぶなっかしい。途中ルートを変えたという表示の、トラロープ通りすすむ。雪渓の溶け具合で、ルートを変更していってくださっているようだ。心の中で感謝する。

鑓沢はまだ雪が残っている。雪の上には赤い粉をまいて、ルートがわかるように表示されている。沢の端は雪が溶けて危険なため、それを避けるように指示してくれている。しだいに硫黄の臭いがして横を湯が流れている。山荘まで4時間。

白馬鑓山荘。下から小屋にたどりつくと足湯がある。その上に露天風呂があり、半身裸の人たちがたくさんいるので目のやり場に困った。上から下からの登山客でにぎやかだ。

小屋では私達は、ワンコーナーを3人で使えたのでラッキーだった。(朝、五竜小屋の予約をキャンセルして、白馬鑓温泉小屋に予約を入れた。電話は、猿倉はつながる。麓の白馬館で予約)

12時過ぎに着いてゆっくりできる。まずは温泉に。露天風呂は基本的には混浴だが、女性専用の内風呂もある。露天はかなり熱い。内風呂は露天より少しぬるいが少々熱い。午後8時から9時までの1時間は内風呂が男性に、露天が女性専用に交代する。

鯖のみそ煮のおいしい食事を終えた5時半頃から、雨が降ってきた。前日も白馬は天気が悪かったらしい。

若い20代の息子さん二人と来られていたお父さん(うらやましい)は大雪渓を登り、昨日は白馬山荘泊。にぎやかな歌のイベントがあったそうだ。

雨もひどく、雪渓であきらめて帰った人もあったとか。北海道からのご夫婦、単独の横浜からの女性など楽しい話もはずんだ。9時就寝。一晩中豪雨と雷。これでは蓮華温泉まで(約10時間)はまず無理と思う。

翌朝5時食事。食事を済ませた頃ようやく雨はやんだ。これから晴れだったら縦走にでかけるが、新潟県に大雨警報が出ているという情報で、下ることに決定した。上に行く人、下に行く人さまざま。

吉本さんと私は最後の朝風呂。私は4回も入ったけれど、吉本さんは内風呂にも入ったので5回。天野さんは熱くて入れず1回。足湯につかって下山。テント場の10数張りのテントもこの雨に耐えた。

下山。しばらく下ると、枝に当たって跳ね返り、下へ3mくらい落ちたとシュリンゲ垂らして助けている方達のお手伝いをした。高齢の女性だったが、無事ケガもなく深々と頭を下げられた。こんな所でよかった。

おいしい水の出る水場がいくつもある道を下る(あまり飲むなの表示が小屋にあったが)。昨日の橋の架かった沢も水量が多いが無事残っている。

大雨の後のガレ沢も恐いが、監視員の方々が朝早くから登山者の安全のため落石がないか目視している。このことだけでも心強い。猿倉まで3時間余り。まずは近くの温泉に行って汗を長そうと、白馬駅近くのミミズク温泉に。

温泉。まだ時間はたくさんある。これからどうする?と相談すると、温泉につかって帰るという。今日もまだ雨は降っていない。もったいない・・・と思うが、雨飾山の麓の、村営小谷(おたり)温泉に向かう。

少し東に10kmほど入るが、雨飾山のキャンプ地の近くで露天風呂があり、男女別の湯なので喜んで入る。木陰の中の露天は気持ちがよい。

帰りに、昨年できたという古民家を改造してつくった蕎麦屋"蛍"に入る。

ランプがつってあり、囲炉裏がある。冬はお休みだそうだが、露天の温泉やこのおそば屋さんはとても気に入ったので、今度雨飾山のキャンプツアーを組みたいねなどと話した。

北陸自動車道を帰るが、新潟県、富山県とどしゃぶりだった。帰省ラッシュに少々あったが、夜遅くには帰ることができた。

反省。雨が降るのは覚悟していたので、雨の中歩いてみたかったが行かなくてよかったのかもしれない。ここのところ天気は不安定だし、恐いのは雷。それに落石。ついこの間大雪渓で落石があり一人亡くなられたそうだ。

雪の上を転がるので音が聞こえないし、直前にわかってもどこへはねるかわからないそうだ。小さい小石でも、スピードがつけば強力な凶器となる。今年の夏はアルプスの雄姿を見ずに終わった。

後日。8月19日、大規模な白馬大雪渓の上部崩落事故があった。大雨にあい、私達も落石はないか、土砂崩れはないかと心配した。大雪渓は毎年落石事故があり、そんな状況であるにもかかわらずたくさんの登山者が登る。

山小屋は2000人が収容できるので、大雪渓では数珠つなぎになって、大勢が登るのだ。そこに落石があればたくさんの犠牲が起きるのは当然だ。事故は自己責任と言うには納得のいかない大雪渓だ。亡くなられた方のご冥福を祈ります。(島)


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