薬師岳   2007.8.15-17   国土地理院の地図を表示   [戻る]

【概 要】室堂〜五色ヶ原〜薬師岳〜太郎平小屋〜折立

【コースタイム】
(8/15)
室堂9:15──10:25富山大学施設──13:45ザラ峠──14:35五色ヶ原山荘

(8/16)
五色ヶ原山荘5:30──10:30スゴ乗越小屋11:10──13:45北薬師14:00──14:50薬師岳15:10──16:40太郎平小屋

(8/17)
太郎平小屋6:00──8:10折立

【感 想】
 2007.8.14夜〜17、昨年、剣に行ったメンバーも日時も同じ。やはり同じ立山7時20分発のケーブルに乗り込む。今日も快晴とまでは行かないが晴れ。どっしりとした剣に再会!

 室堂には、新田次郎の剣岳点の記2009上映のポスターがあちらこちらに貼られている。私も上田さんに触発されて26年ぶりに読み返した。剣に測量隊が四等三角点を建てる、苦難の話だ。前人未踏とされていた剣。"やあ、また会えたね"と挨拶する。今度は去年と違って室堂には帰らないぞ。

 記念撮影をして浄土山に向かう。40分くらい歩くと小さな雪渓がある。まっすぐ歩けば浄土山。そこで、おじいちゃんおばあちゃんに連れられた小さな男の子達が雪と遊んでいる。そこからはちょっと急登。

 室堂から、緑の屋根の富山大学の研究所のある、龍王岳と一の越の分岐まではおよそ一時間半。鬼岳の東側の雪渓がどのくらいあるか心配していたが、たいしたこともなく、危険な時にはロープがあったようだがそれもはずされていた。

 雪渓まで行く途中、沢を越えた時に蝉の声とそれとは違った声がする。雷鳥!?雛をみつけた。あ!そこにも。親鳥が、子ども達に遠くへ行ってはだめよという声かしら。雛たちは5羽くらい歩き回っていた。吉本さんが写真を撮ろうと雛を追いかけた。

 お花畑も縦走路では、チングルマ、ハクサンイチゲ、ヨツバシオガマ、ミヤマキンバイ、イワギキョウ、タカネツメクサ、イワイチョウ、コバノコゴメグサ、イワヒゲ、トリカブト、クルマユリ、ゴゼンタチバナなどたくさん咲いている。獅子岳からの下りは、ガラガラした道でとても歩きにくく、ゆっくり歩かないと足を痛めそうだ。

 五色ヶ原。広々とした草原。少し雲が湧いてきたので、眺めはあまりよくない。明日登る鳶山が目の前にある。湿原地帯。五色ヶ原山荘の入り口に、タカネツメクサのかわいい白い花が咲いている。

 小屋もすいている。お盆にはここは混んだことはないそうだ。お花を見に来る方が多いので、7月下旬から8月初旬が混むそうだ。けれど今年は雪が遅かったので、今でもたくさんの花が咲いていてラッキーと、小屋のお兄さんが話す。

 また、この小屋では男女30分交代で入浴できる。もちろん石けんなどは使えないから汗を流すだけ。それでもさっぱりする。4m四方のステンレスの、大きくてきれいなお風呂だ。6畳の個室を占領できた。疲れていたので食事をして、6時半にはバタンと寝てしまった。

 夜、目が覚めると、壁が30秒おきにピカピカ光る。何だろう?こんなところにネオンサインは無いはずだし・・・。起き出して窓から遠くの南の方を眺めると空が光っている。雷にしては雷鳴は聞こえない。でも雷か?こちらの空は星がたくさん光っている。不思議な自然現象に遭遇した。

 8月16日。朝食を5時にとり、5時半出発。たしか、太郎平に向かうという方達もいたのだが、先に行ったのだろうか。雲も多いのだが槍が見えた。だんだん晴れ間も出てくる。

 ハイマツやシラビソの中を歩く。越中沢岳の高くて大きな山容が目の前に一瞬見えた。ニッコウキスゲも咲いている。白いタカネツメクサとイワギキョウの澄んだ淡い青がきれいだ。

 越中沢岳から急下降。昨日の下りよりは歩きやすい。スゴ乗越 と小屋が見える。もうすぐ小屋かと思うがまだ下る。樹林帯の中は涼しいが今日は暑い。南面の風のない所は息苦しい。

 赤いこじんまりしたスゴ乗越小屋では、何人かが休んでいる。これからの長丁場に、水筒と喉に水を補給をした。朝、太郎から登ってきたという元気な単独女性がいた。ちょうどこちらからも5時間、あちらからも5時間と、中間地点らしい。

 ここで、テント泊の大きな荷物を持ったご夫婦?と出会う。どうも、私達の後を歩かれていたらしい。重たそう。お昼は昨夜握ったおにぎりかな?女性の方は食糧係だから荷物減るんですよ〜とおっしゃる。わかるわかる。私もそうだった。でももうテント泊は叶わなくなった。もう荷物が持てない(-_-)。

 中越地震のおきた新潟の方だった。この方達とは北薬師まで、抜きつ抜かれつ一緒に登った。暑さにめげず、山小屋のビールで乾杯を目指して。

 途中、間山の手前に池があり、いいテント場になると話していたが立て札に幕営禁止とある。でも、ここは昔テント場だったようだ。間山にも池があり、槍が見えた。そうそう、薬師岳もどこからだったから姿を見せてくれて、"おいでよ〜"と私達を呼んでいた。

 ここからは北には剣、南には槍、同時に見える。穂高は残念ながら雲の中だった。目の前には針ノ木のどっしりした山。あそこが雲の平。今年行けなかった。いつか行くぞ!間山を越えた所から岩の山になってきた。

 剣岳点の記の測量隊の測夫の一人、金作さんの金作谷カールが、薬師岳を威厳のある山にしている。薬師の頂上には祠と、すぐ下には避難小屋があるのが遠くからでもわかる。

 稜線上の南面は暑い。でも冷たい風が吹けばほっとする。温度計は25度。下界はいったい何度?1000mで6度違うから40度!!

 薬師岳に到着。目標となる薬師がだんだん近づいてくるし、周りの山々やお花が応援してくれるからそんなに辛い山行ではなかった。頂上には何人かの人。

 縦走中折立からやってくる方にたくさん会った。慶大のワンゲル部。大きな荷物を持って剣まで。新穂高から入った単独行の若い人。連日の晴天で日に焼けて軽いやけど状態だ。五色ヶ原から向かったのは私達が一番乗りだったようだ。

 薬師岳の頂上から、薬師岳山荘と太郎平山荘が見える。ここも気持ちの良い大草原。ぽっこりした笠ヶ岳もわかる。針ノ木が昨日からずっと私達を横目に眺めている。来年は針ノ木〜後立だね!っと決定!行きたい所はどんどん広がってあふれていく。行く所がたくさん!!

 頂上から薬師岳山荘まで下り、太郎平小屋でのごはんは大丈夫だろうかと聞く。なんとかなるとのお答え。ここから、私一人ゆっくり下りると二人に先に行っていただく。

 草原の中ルンルンのはずだったのに、途中から岩の多い沢の中を歩くはめに。途中、平らの所があって碑が建っていた。私はトイレがしたかったのだが碑の横ではあまりにも失礼だったのであきらめて下る。よく考えるとこれが愛知大の遭難碑だったのだと後で気がつく。

 すぐに水場があり、とてもおいしいよと三人の方にすすめられ沢の冷たい水を飲んだ。また、沢の岩の中。ひょっこりテント場に出る。色とりどりのテントが20くらいあっただろうか。前を行く天野さんと吉本さんが見えた。

 この登りを越えれば、大草原の太郎平小屋。私は15分遅れの5時到着。

 お待たせしました!楽しみにしてきたビールで乾杯!!よく冷えている!!1000円のプレミアムモルツの生!価値のある乾杯!!おいしかった〜!!

 太郎平小屋から眺める薬師は優しい山だ。この小屋に、赤木沢から登ってきた沢登り組もたくさんいた。100名くらい一度に食事は終わったようだ。食事をしてから、私は夕焼けを眺め、東の山の夕映えも一人楽しんだ。ご両人は横になっている。

 しばらくして、食堂でまた酒盛りをしてから外に星を見に行く。北斗七星が目の前に大きく見える。星に近いのか。寝場所は二段ベットの上。今日も一人一つの布団に眠れる。

 8月17日。翌朝5時から食事だが、4時過ぎ頃から起き出している。私達も6時には出発。黒部五郎、針ノ木、後立、薬師もうお別れだね。しばらくはなだらかな草原地帯。木道がついている。今日は金曜日。折立から登ってくる登山者が多い。2時間10分で下りる。

 タクシーのおじさんが、バスの値段でいいと安くしてくれる。が、私達は富山駅ではなくて立山なので、ひょっとしたら高かったかも。お詫びかどうか知らないけれど、自家製の大きな赤いトマトを運転手さんがくれた。落差350mの称名の滝を見て、沢の水で冷やしたトマトは格別おいしかった。(^o^)

 去年泊まった白樺ハイツの温泉で、3日間の疲れをとった。昼食をとり、徳島に向けて家路を急いだ。

 折立からと室堂からでは、折立の方が登りが多くしんどいに違いないが、折立からの縦走者が多いように思った。

 本来なら3泊4日を2泊3日で歩くことができたのは天候が良かったこと、メンバーが私に合わせて歩いてくれたこと、それに高山植物で縦走路があふれていたことだった。メンバーと自然に感謝です。(*^_^*)

 針ノ木から後立も良いけれど、折立から黒部五郎、鷲羽、水晶、雲の平、高天原、薬師沢から太郎平といつも考えていた逆コースも良いかもしれない・・・!まだまだ行かねばならない所がたくさんある。行けるかな〜。行きましょう!!島


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