上高地・涸沢・穂高岳山荘

2006.10.6〜9


【コースタイム】
●10/6
小松島ルピア20:40──古田宅21:00──藍住マルナカ21:40──

●10/7
平湯アカンダナP6:00──(タクシー)──6:30上高地7:00──9:30横尾──小雨──12:05雨──13:05涸沢(気温8℃) ──途中みぞれから雪──15:40穂高岳山荘(気温0℃)雪

●10/8
朝6時前気温(−8℃)吹雪──穂高岳山荘8:20(気温−2.5℃) ──10:00涸沢──10:40小雨──12:15本谷橋通過──13:15横尾──14:05薄日射す──14:45徳沢──15:20明神15:30──16:05上高地(震えながらタクシ-待ち)17:00──18:00平湯──宿探し──20:00栃尾温泉民宿みなみ泊(混浴露天風呂・飛騨牛刺し)

●10/9
みなみ8:00──新穂高温泉(途中で西穂奥穂〜ジャンダルム〜北穂が見える)快晴──NHKカメラを覗かせてもらう──槍ヶ岳キレット見える──初冠雪の粉砂糖をふりかけたような山々──青空と雪と雲と美しいひるがの高原白山が見える──途中道路脇落葉松の木がきれい──20:00徳島

【感 想】
 台風16号、17号とも東にそれたが、16号が発達した低気圧にかわり、秋雨前線を伴っている。土曜日までは悪天候のようだ。金曜の朝の天気予報では、この低気圧は発達し、動きが遅く、北陸東北は日曜日まで影響があるということだったのでさっそく朝会長にメールをいれるが、予定通り行こうと19時前に連絡が入る。

 私も期待を持って出かける。なにせ24年ぶりの穂高だから・・・夏頃から行こう行こうとうるさく言っていたのは私。しかし、結果、雪になって穂高岳山荘ピストンだった。

 中秋の名月を眺めながら、明日は雨に遭わずに登れるかもと、夜中高速を走りながら思う。平湯からタクシーに乗って上高地に。霧雨程度が降っている。

 24年ぶりの上高地の朝。登山客専用の建物があって、登山人口が恐ろしく増加していることがよくわかる。この人たちが槍と涸沢に分かれて登るの??!横尾までの川沿いを歩くのに、「サッサッと歩けないよ」と言う会長の言葉がやっとわかった。

 徳沢園。私の大好きな場所。でもなんだか小さく狭くなった感じ。人が多いせいでしょうか。横尾から橋を渡り、しばらく川沿いを歩いて登りにかかる。本谷橋を越えてしばらく歩くと、古田さんはマイペースで行きたいと、先に行ってくれとおっしゃる。道も心配ないので、三人でゆっくり登り出す。紅葉が美しい。

 久米さんの行きたい横尾右俣はけっこう急。紅葉は少し早いようだったが、黄色オレンジ赤茶色、色々な葉っぱが山を染めてきれいだ。感激!雨が強くなってきた。涸沢ヒュッテにつき、古田さんは間違って涸沢小屋の方へ行きはしないかと心配している内に10分後さわやかにやってきた。天野さんがほっとして笑顔で迎えた。

 涸沢ヒュッテも大きな山小屋に変わり、立派!ここでインスタントでない生ラーメンが食べられるなんて、昔ではおよそ考えられもしなかった。1時間の休憩で、穂高岳山荘に向かう。ちらほら向かう人が見える。雨もそんなにいやな感じはなかった。岩が出てきて、ハシゴもあって鎖もあって、こんなだったかなと思いながら、雨はみぞれに変わり、小屋まであと30分くらいのところで雪となる。

 すぐ近くまでヘリコプターが飛んできた。何かあったのかなと思うが・・・。人のことを考える余裕はない。薄手の毛の手袋は冷たくなった。やっと小屋につき温度計は0℃だ。手がかじかんで宿帳の名前が書きにくい。

 雷鳥の間。玄関に一番近いところ。部屋は寒い。乾燥室に雨具等を干して夕飯までひと眠り。名前が呼ばれて食堂に行くが吉本さんは起きてこない。体調が悪くて食欲もないということだ。ポットにお茶を入れて持っていく。

 お隣は長野の山の会の人たち。天気予報にだまされて来たとおっしゃる。8人のグループだが、他に3人いて、ザイテングラードの途中で足を滑らしてケガをしたそうで涸沢にとどまったということだった。リーダーが若いイケメンのお兄さんで老若男女頼もしい。明日は快晴です!と彼は言ったのだが・・・。

 7時に皆さん寝てしまうというので、私はストーブのあるたくさん人が集まっているところへ出かけていき、そこで穂高岳山荘の80周年のビデオを見た。今夜のように、翌日本格的な雪が降り、山小屋の人が30人を引き連れて下山したとか。NHKの天気予報は晴れ!!でも、下界は晴れでも、山の上は残念ながら違うのです。

 夜中、風の音が小屋の壁に当たり、風は強いなあと思う。朝5時半ころ、ガタガタ皆起き出す。今日は、ゆっくり一日ここにいてもいいくらい。6時前、一人外に飛び出してみると、一面銀世界。風も強く吹雪いている。温度計は−8℃。

 1時間ほどして3人組の男性達がアイゼンも付けずに出て行った。大丈夫ですよ〜と、けっこう楽観的だ。まあ、冬装備していたから。でも、ルートはわかるのだろうか。私達も朝食をいただいて、ストーブで手袋を乾かして、8時20分くらいに出ることにした。アイゼンがあってよかった。

 天野さんを先頭に下る。踏み後もあるが、吹雪のため道は消えてしまいそう。前に女性3人が下っているのに追いつく。中の一人がアイゼンを付けていないので、先頭の女性が指示を出す。私よりは年輩の人たち。女は度胸だ!!すごいなぁと感心する。

 岩場をすぎ、トラバースしたらもう安心だ。2時間近くは気が抜けなかった。降雪20cmくらい。涸沢におりてもしばらくは小雪。下りは休み無し。

 涸沢小屋でテント場を見下ろす。23歳の時初めて春訪れた。それから何回ここに入っただろうか。テントはみな小さくて、昔のように10人用などの大きなテントは無い。懐かしさがこみ上げてくる。こんなに人も多くなく、特別な人たちだけの世界だった。テントでの生活。それも楽しかったっけ。

 トイレの清掃待ちで、涸沢に40分もいた。本谷橋まで1時間。そこを過ぎると昨日といっしょ。雨も小降りになり、霧雨のような天気。でも、休憩もなくいっきに横尾まで下る。私は暑くて、途中カッパの下のシャツとフリースを脱いだ。頭には毛糸の帽子だったけれど、これも用済み。冬から、もとの秋に帰ってきた。

 本谷橋から屏風岩、横尾右俣。昨日とは一変した景色にまた感動。時折薄日も射す霧雨の中、横尾でお弁当を広げた。三嶺の北西尾根で痛めた左足がまた痛くなって古田さんからいただいた湿布のおかげで少し痛みもやわらいだ。

 また、上高地までハイピッチ。古田さんも右足が痛いと言って、二人は後から歩くが普通の人よりは速かった。梓川は澄んでいる。水の流れも速く、底が澄んで見える。明神では、わき水が湧いているところがあると古田さんに教えてもらう。若い頃、上高地〜横尾間は脇目もふらず歩いていたから今日はゆっくり歩きたいのだけれど。

 横尾から2時間で上高地についた。バスターミナルもタクシー乗り場も人人人。うんざり。昔、山は人がいないからこそ行くのが好きだった。たしかに上高地から横尾まで人はいたけれど、こんなにいやしない。昔に比べたら、10倍、いや20倍??静かな山歩きがしたい。紅葉の季節と連休が重なるこの時期に集中するのだろう。上高地から、明子さんにメールを送る。平湯にいるというので駐車場で会うことにするが、平湯のアカンダナでは会えなかった。

 小雨も降っているし、寒いし、テント泊よりは宿を探す。30分電話をかけまくった。もうこれで最後と言うことで、栃尾温泉の民宿みなみというところへ電話を入れると、"はなれ"が空いていた。食事はできないが、露天風呂はあるという。ビールはあるか聞くと、あてに飛騨牛の刺身もできるという。これに天野会長大喜び。

 みなみに着くと、おじいさんとおばあさんの民宿で、ほとんど私達が何もかも動いた。飛騨牛をおじいさんが造る横で、天野さんと会話が弾んだらしく、馬刺のおまけもつきました。食欲のなかった吉本さんも、ビールとなると体調が回復したようで、お酒もすすんだ。きっと温泉のせいですね。

 体が真から温まって。古田さんは飛騨牛も馬刺も食べれなかったけれど、優しくて明るくて、楽しい会話がはずみました。露天風呂は、天野さんが寝てしまってから古田さんと二人で入りました。かわいい露天風呂で、空にはおぼろ月。あたたかな布団で眠れたことに感謝です。朝は6時過ぎに起きて温泉に。男性は露天。私達は内湯へ。

 10月9日は快晴。朝、青空が広がり、天野さんに、山を見に行こうとリクエストする。新穂高からは西穂、ジャダルム、北穂(?)が銀色に光っている。NHKのカメラがあって、大きく見えるカメラを覗かせてもらった。本当にいい天気。もっと奥に向かうと槍、南岳、キレットも見えた。

 中尾温泉にあがってみると笠ヶ岳が美しい。粉砂糖をふったような山山。青空、白い嶺、筋雲が美しい。いつまでもいつまでも見ていたい。別れを惜しみながら穂高を後にする。 途中、ひるが野というのどかなSAでは、初冠雪の白山も見えた。車の中で落葉松の林の美しさ、雲の色形の変化、夕焼けとすばらしい自然を満喫しながら帰った。

 平湯に下った時、あすなろの皆さんから、ご心配のメールをたくさんいただきました。ありがとうございました。帰ってヤフーの遭難の速報を見ると、北アルプスはジャンダルム、北尾根、祖母谷から白馬、御岳と多く、白馬で4名合計7名もの方が亡くなったそうだ。3000mの稜線では気温ははるかに低く、また、風も強かったので、体感温度はマイナス20℃ではなかったか!紙一重の紅葉の時期の天候の急変、冬装備をきちんとしていたかどうかで、生死が別れることになる。

 初冠雪の穂高に巡り会って幸せでした。それに、とても多くの教訓もいただくことができました。家に帰って調べてみると穂高は5回、今回で6回目、槍や常念なども入れると、今回で10回目の槍穂でした。そして10月14日は、大台に乗った私の誕生日。嬉しい誕生日プレゼントとなりました。

 それにとても楽しくて天野さん、吉本さん、古田さんに感謝です。ありがとうございました。ずっとずっと山に登りたい! 島


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