笹雁新道から雁戸山(1484.8m)へ

2001.7.8 晴れのち曇り


 約半年ぶりに山行したのでレポートしたいと思います。

 今回の「雁戸山」は「がんどさん」と読み、このあたりの言葉で、きこりの使う「大のこぎり」のことを指します。名前の通り山頂付近はのこぎりの歯のごとくギザギザになっており、最後のコルへの約50mの急降下、頂上への約130mの急登は地図上からも容易に確認できます。

 この山は東北でもあまり知られた山ではありませんが、宮城、山形の県境に位置しており、アクセスも良いことから地元岳人のホームゲレンデとして、休日には割合多くの人で賑わいます。しかしながら数キロ先に鎮座する蔵王(熊野岳)に比べると静かな原生林を堪能できる玄人好みの山でもあります。

 今日は数あるコースのうち、宮城側の一番人気のある笹雁新道を通って、頂上へと至る約3時間のコースを紹介したいと思います。

 登山当日は東北地方といえども決して涼しい日とは言えない中、一人登山口までの2キロほどの林道を歩き出しました。このあたりはまだ植林地帯であまり特筆するものも無いが、唯一の水場として、沢水が汲めるポイントなのでしっかりと補給しました。やがて林道も終点につき、やっと登山道になります。

 しばらくの間は左手谷底の深いところに沢登りに良さそうな沢を見ながら緩やかな登りを30分ほど続けると、砂防ダムが現れ、そこから気持ちのよい広葉樹の林の中を尾根に向かっての本格的な登りが始まります。

 一人で登っているせいか、はたまた予備知識の賜物か、動物の気配が濃厚に伝わってくるような気がします。実際、このエリアにはツキノワグマが多く目撃されており、熊よけ鈴でもほしい感じでした。

 そこから尾根に出るまでは、ブナの原生林が続く感じの良い登りが続きます。しかしながら尾根に出てからは笹が一面に生い茂っており、低木しかないので、暑さと足元の悪さでかなりのスタミナを消費することになった。

 しばらくは同じ勾配での登りが続き、もういい加減許してくれと思う頃、ちょっとした広い尾根に出て、右手にやっとピークが顔を覗かせます。のこぎりという割には平たい頂上が特徴です。少しかすんではいますが写真を撮るなら此処からが一番だと思い一枚撮りました。

 頂上が見えたので俄然元気が出て、手前のピークまで一気に登ると、問題ののこぎりの谷の部分が見えたのですが、これがリハビリ岳人にはボクシングのボディーブローのように効きました。これまでの登りよりも条件が悪いうえ、暑さも手伝って30分ぐらい喘ぎながら歩く羽目に。

 我ながら情けなくなりながらも、トータルきっちり3時間かかって登頂に成功しました。ピークからは南に蔵王の最高峰「熊野岳」、北に「栗駒山」が確認できましたが、山形方面(北西方面)に見えるはずの「月山」は今日は見えませんでした。(月山も本当に良い山です。)しかしながら、思わず踏み潰してしまいそうなくらい沢山トンボが飛んでおり、誰もいない静かなピークに彩りを添えていました。ちなみにここは2等三角点でした。

 もう少しゆっくりしたかったのですが、時間も時間(3時)なのでそそくさと山頂を辞し、下山の途につきました。帰りは谷に入る頃には薄暗くなっており、知らないうちに早足になって、約2時間半で車へ帰ることができました。

 全体的には、登山道はしっかり整備されており、まず迷うことはないので、季節さえ考慮すれば、万人向けのコースであった。ただ四国から来るのであれば、他の山を薦めてしまいそうです。どなたかこちらへ転勤する方があれば案内したいと思いますが。

 余談ですが、山形はすべての市町村に温泉があり、露天風呂も多く、本当に素晴らしいところです。  それではまた近いうちにレポートしたいと思います。次回は山形の「朝日連邦」に一泊で行く計画を立てています。 三浦


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