矢筈山が、イメージを一新している。ご存じだろうか。
まず、膝を覆い隠す程あった笹が取り除かれた。夏山として敬遠されてきた懸念の解消になったと思う。もともと植物の豊富なことで知られた山ではあった。矢筈山の夏を彩るイバラ、シコクフウロ、シモツケ、バイケイソウ、コメツツジに心奪われても足下に不安はない。
草原に点在する露岩のひとつに腰を据え、ひととき想い、そして樹林帯に涼を求める。以前なら数メートルおきに見かけた無用の赤テープも要所以外は目にしない。
ネームバリューに加え、車によるアプローチが容易で、しかも山頂までの所要時間が2時間弱の矢筈山。例外に漏れず、ゴミの多い山であったといえる。けれど最近ゴミは見あたらない。
剣山地に負けない変化に富んだ景観を楽しみに訪れる人達が、よりいっそうの親しみと愛着を覚えることだろう。 大西