八ヶ岳

1999.5.23-5.30


 縁あって、美濃戸口にある別荘を拝借できる事になり、去年の北八ッに続き今回はいよいよ八ヶ岳の主峰赤岳を目指す事になった。八ヶ岳という山は、ひとことでいうならコンパクトな山である。雄大な展望、緩和な森林、険しい岩稜、色とりどりの高山植物、空を舞う小鳥、地に遊ぶ動物、緑の草原、清水をたたえる池沼、山あいの素朴な温泉、鉱泉・・・。さほど大きくない体をたくさんの「山の魅力」でふくらませた山である。

 別荘から美濃戸までは、シラカバがまじるカラマツ林の車道を1時間。ここまでくると前方に阿弥陀が望まれる。ここから行者小屋への南沢コースへと登ってゆく。沢づたいに流れを頻繁に渡り返しながら、エメラルド色の新緑の中、まだ見えぬ赤岳に思いを馳せながら登って行く。そのうち涸れ沢に変る。白河原とよばれる広い川原に出ると、横岳が威容を現し、そのうち赤岳も見えだす。なおも荒れた川原を進むと行者小屋に着く。

 小屋は赤岳西壁を間近に見る。まことにいい所である。行者小屋から道は悪いが最短路(小屋から頂上まで1時間半)である、文三郎道を登る。鎖や鉄製階段に連なる滑りやすい岩稜を急登し、最後に鎖づたいに岩れきの斜面をがんばれば、そこが2899m、八ヶ岳の主峰赤岳であった。

 お天気は良かったが、富士山も南アルプスもぼんやりとしか見えなかったのは少し残念。帰りは雪の残る地蔵尾根から行者小屋、美濃戸へと下り、約9時間の山行は無事終った。

 沢でつんだセリの天ぷらは絶妙の味、イタドリの天ぷらも、これまた珍味。素敵な別荘で山のごちそうと山の話、これでアルコールがすすまないはずがありません。二日酔いになったのも当然の成り行きです。 吉田

「阿波あすなろ山の会」
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