申太郎山(1566m)・雲早山(1496m)

−夏山に花を求めて−  1999.7.11


メンバー:尾野(L)、小林、富沢、太田、古田(寿)、大西、高川

 出会いの不思議さを思いながら、前日まで全く未知だった人たちと山稜を歩く。意外な展開だった。例会をちょっと見学のつもりが、厚かましく飲み会に割り込み(会費も持たずに)、酔いも手伝い翌日の山行を約束、思わず「入会します!」と叫んでいた。「酒で失敗」は枚挙にいとまがないが、今回は、酒好きが幸いした。勿論、酒の勢いだけで仲間入りしたわけではない。和やかでフリーな雰囲気、オールラウンドな山行スタイルが阿波あすなろ山の会の身上、と感じたからだ。

 さて、申太郎山(頂上の山名標識は、「樫戸丸」)であるが、目当てのクガイソウが咲いていない。それにしても、花どきには一面が見事な紫に彩られるだろう広大な群落である。「花を見るなら,申太郎山です」と三嶺から方向転換をさせた張本人・小林は、「申し訳ない」の連発で身を縮め、なかなか殊勝…、と思えば、「私が、花を咲かせるわけじゃなし」と開き直ってみせたり、侮りがたい。

 オオヤマレンゲを見るため、頂上から先へ少し下がる。こちらは咲き残っている花がたくさんあり、十分に楽しめた。花をバックに、記念写真。「うつむきかげんの可憐さ、清楚でありながらどこか悩ましげ。この花のようになりたい」というつぶやきが聞こえる。(まぁ、気持ちはわかりますけど、現実というものは…) 

 尾野が、花どき前のクガイソウの群落の中を、テレながら歩く我がパーティの姿をカメラにおさめる(この写真は、5日後、徳島新聞の1面を飾ることになる。)。頂上にとって返すと、下から大きな男が現れ、近づいてくると、朝は二日酔いで死んでいた大西だった。狭い頂上スペースに、やたら人が多くなる。みなさんが山とか植物学の重鎮やら泰斗、これがみんな尾野の旧知の人々。さすが顔が広い。大西の「この方、熊の痕跡情報をお持ちで…」の紹介で、一同色めき立つ。

 「ネッ!やっぱり申太郎山で正解だったでしょう」と、俄然、息を吹き返す人もいたが、現場を確認した結果、鹿の食痕とわかり意気消沈。

 その後、雲早山を登る。幻想的で広闊なブナ林の沢道、斜面を覆う苔むした岩塊、尾根道を吹き渡る涼風など、コースの短さからくる物足りなさを補って余りある山だ。コースの詳細は、7月16日の徳島新聞「ふるさとの山」(尾野の署名記事)に譲り、大西が、大きなポリ袋一杯のゴミを拾い、「公務員の鑑」と、一同の賞賛を浴びたことのみを記す。

 阿波あすなろ山の会での初山行を十分に楽しんだ。こんなに明るく賑やかな山行は初めてである。際だつ賑やかさの発信源は…、えっ、言うまでもないって?  高川

雲早山の地図
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