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三傍示(1157.8m)〜剣ノ山(1105.8m)縦走(県境を行く)

1994.12.25



 立川越え北の阿土国境の尾根を辿り、まず三傍示山を目指す。周りの山は、伐採された木々が白く墓標のように立ち、寒々としている。

 尾根筋に僅かに自然林が残り、石楠花も多く見られたが、これもまた山仕事の便宜のためにつぼみを持ったまま伐り払われ、なんとも痛々しい。

 急な尾根を一気に登ると、土佐、伊予、阿波三国にまたがる笹ヶ峰方面への分岐に至る。ここからは伊予との境を歩くことになる。

 杉の倒木で頭を打ちながら少し歩くと、三傍示山頂上。怪しかった天候はここに至りますます怪しくなり、行く先は霧の中。とにかく行くしかないと、スズタケの中に飛び込む。

 未知のルートは不安もあるが、初めてそこを歩くのだと思うと嬉しくなる。

 読図と勘を頼りに僅かな踏み跡を探り、笹の海を泳いで行く。スズタケで顔や手を切っても、真っ黒に汚れても、なぜか幸せな気分である。

 薮路にもかかわらず、かなりのハイペースで突き進む。皆何かにとりつかれているよう。

 スズタケからやっと解放された所は、剣ノ山の頂上。植林された木々に阻まれ展望は無し。植林に沿って行くと道を誤るので、それに気を付けながら、急な下りを一気に駆け降りる。

 大きなカエデやリョウブなどが残っており、紅葉の季節はさぞかしと思われる。塩塚峰が白く輝くように見えるらしいが、今日は光線の具合が良くなく平凡な山容である。

 ○○峠で県境に別れを告げ、ゴールのアキン谷林道の終点を目指す。

 天気が良くなかったので、期待していた土佐や伊予の山々の展望は得られなかったが、一日で三県にまたがって山歩きをしたという大きな満足感は得られた。

 こうやって少しずつ県境を繋いでいって、そのうち徳島を巡る県境の全てを歩いてみたい。(小林)