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北岳〜間ノ岳〜農鳥岳縦走

1994.8.17〜8.18


8/17 広河原〜大樺沢右俣〜北岳肩ノ小屋〜北岳〜北岳山荘

8/18 北岳山荘〜間ノ岳〜農鳥岳〜大門沢〜奈良田


 雄大なバットレスを見上げながら、大樺沢右俣の尾根に取り付く。樹林の中のジグザク道に汗だくになりながら、確実に高度を稼いで行く。

 小太郎尾根の分岐の道に出た途端、眼前に広がる大パノラマに、しばし言葉を失い呆然とする。北に、林立する峯々の八ヶ岳、白く輝く甲斐駒ヶ岳、貴婦人がスカートを広げたような仙丈ヶ岳、振り返ると南には、あの富士山が鎮座まします。

 「なんと贅沢な眺めの得られる縦走だろう」と、思わずニンマリとしていたら、北岳頂上は生憎ガスの中。早々に北岳山荘に引き上げる。


 翌朝は快晴。間ノ岳から農鳥岳へと縦走する。東に富士山、西前方に塩見岳、そして荒川岳、赤石岳とうねうねと続く南アルプスの山々が望める。緑なす大原生林を持つ、大きな山々だ。

 眺望に見とれていたが、足元に目を転ずれば、そこはトウヤクリンドウの大群落。下界は猛暑だが、ここ山上では初秋の気配。チシマギキョウ、ハハコヨモギ、コバノコゴメグサ、ウサギギク等、可憐な花が咲き競う。

 時期外れの為、憧れのキタダケソウは見る事が出来なかったが、初めて目にするタカネビランジの清楚な美しさに感激する。眺めは良いし、花も多く、危険な場所がなく歩き易いこのコースは、私のような軟弱者には正にピッタリ。

 ごつごつと男性的な北アルプスに対して、ゆったりと女性的な感じのする南アルプス。登るのは今回が初めてだったが、いっぺんで大好きになった。来年はこの縦走で遠望した山々の何れかに登り、北岳を眺めてみたい。(小林)