○腕山(1332.9m)
水口峠を越え、腕山牧場へ向かう。牧場手前の道路端に、登山口の標示あり。早足で登ると、約15分で頂上着。
灌木に阻まれ展望は無し。しかし登山道の途中からは、中津〜寒峰の縦走路が間近に美しく見える。
すぐ東に位置する烏帽子山が、その優雅な帽子を見せてくれるはずなのに、残念ながら雨雲のベールの中。先月の雨の中の登山といい、今回といい、かの山はハッキリしたお姿を見せてくれない。
山にも相性があるのかも。かの山は、どうも私の片思いらしい。気を取り直して、竜ガ岳へ向かう。
○竜ガ岳(1165m)
腕山牧場に車を止める。有刺鉄線の棚をくぐり抜けると、ぬかるみの作業道が西へ続いている。草を食む牛に手を振りながら、牧場の中を抜け、なおも西へ向かう。
やがて道は下降し始める。この辺りから、尾根伝いに薮漕ぎをする。雨の中、久しぶりの薮にドキドキワクワクする。身体全体が山に包み込まれている気がして、五感で山を感じとれる。
雨と薮に付く滴で、カッパの中までびっしょりと濡れる。この不快感も懐かしい。
リーダーの「右、左」という声を頼りに前進し、これまたリーダーの「頂上はこの辺りでしょう」という判断に従い、頂上(とおぼしき所)着。三角点も標識も無し。
帰路は秘境小祖谷へ下り、松尾川渓谷から竜ガ岳を見上げる。
東洋一と銘打つ大断崖を見て、他の二人は登攀経路をあれこれ思い巡らし、私は「秋の紅葉はさぞ美しかろう」と、早くも紅葉狩に思いを馳せた。(小林)